5 波動 + 3 修正波 ─ 相場の根本リズム|エリオット波動の基本構造を初心者向けに解説
相場には 「リズム」 があります。それは適当な動きではなく、 8 つの波 で表現される群衆心理の繰り返しです。
ラルフ・エリオットが 90 年前 に発見した波動理論。推進 5 波 + 修正 3 波。各波には 独自の性格 があり、 それを覚えることで「今相場のどこにいるか」 が見えるようになります。
第 1 波は気づきにくく、 第 2 波で諦め、 第 3 波の急騰を 外野で見ているだけ になりがち。本記事では「第 1 波の高値超え」 = 第 3 波突入のサイン、 という具体的なエントリー判定を解説します。最強の波を外さないために。
この記事でわかること
- エリオット波動の基本形(推進5波・修正3波)
- 推進波の3原則(これを破ったらカウントやり直し)
- フラクタル構造(大きい波の中に小さい波がある)
- インパルスとダイアゴナルの違い
- 修正波の5つのパターン
- ダウ理論との組み合わせ方
エリオット波動理論とは、市場が5つの推進波と3つの修正波、合計8波で1サイクルを構成するという波動理論である。「今が何波目か」を把握することで、今後の値動きの方向と到達水準を推定できる。ダウ理論ナビでは週足・月足の2時間軸で推進5波の構造を自動判定し、3つの絶対ルールで有効性を検証している(日足はノイズが多いため非表示)。
エリオット波動とは?
エリオット波動理論とは、株価の動きは一定のリズムで繰り返される「波」のパターンに従うという理論です。1930年代にラルフ・ネルソン・エリオットが発見しました。
エリオット波動理論は1938年に発表されました。推進波は5つの波(第1波〜第5波)で構成され、修正波は3つの波(A波・B波・C波)で構成されます。一般的に第3波が最も大きく、第1波の1.618倍〜2.618倍の値幅になることが多いとされています。また、第2波は第1波の38.2%〜61.8%、第4波は第3波の23.6%〜38.2%の調整が目安です。
基本形は「推進5波+修正3波」の合計8波で1サイクル。上昇局面では5つの波(1→2→3→4→5)で上がり、その後3つの波(A→B→C)で調整が入ります。
図1:エリオット波動の基本形 — 推進5波(赤)+ 修正3波(青)
エリオット波動の実践では、以下の数値が目安になります。第1波の上昇幅を100%とした場合、第3波は161.8%〜261.8%、第5波は61.8%〜100%が典型的です。修正波では、A波が推進波全体の38.2%〜50%、C波はA波と同等かその161.8%になるケースが多く観測されています。東証の日足データでは、推進5波が完了するまでに平均3〜6ヶ月、修正3波は1〜3ヶ月を要する傾向があります。
推進波の3原則
エリオット波動で最も重要なのが、推進波が守るべき3つの原則です。これに違反したら、波動のカウントをやり直す必要があります。
3波は通常最も長く伸びる波で、最も利益が出やすい局面です。
もし2波が1波の起点を割ったら、それは推進波ではありません。
4波の調整が1波の高値水準まで戻ったら、波動カウントの見直しが必要です。
図2:推進波の3原則 — 1つでも破ったらカウントやり直し
フラクタル構造 — 大きい波の中に小さい波がある
エリオット波動の重要な特徴がフラクタル構造です。大きなトレンドの1波を拡大すると、その中にも5波+3波の構造が見えます。月足の1波の中に週足の5波があり、その中にさらに日足の5波がある——という入れ子構造になっています。
推進波の2タイプ:インパルスとダイアゴナル
推進波にはインパルス(通常のパターン)とダイアゴナル(例外パターン)の2種類があります。
| タイプ | 特徴 | 出現場所 |
|---|---|---|
| インパルス | 3原則をすべて満たす標準的な5波動 | 1波・3波・5波のいずれか |
| ダイアゴナル | 3原則を満たさなくても5波動カウント可 | 主に1波・5波に出現 |
修正波の5つのパターン
推進波の後に来る修正波(A-B-C)には、5つの基本パターンがあります。
| パターン | 特徴 |
|---|---|
| ジグザグ | A波が5波動、B波が3波動、C波が5波動。鋭い修正 |
| フラット | A波が3波動、B波が3波動、C波が5波動。横ばいの修正 |
| トライアングル | A-B-C-D-Eの5波で構成。収束する三角形 |
| ダイアゴナル | 推進波と同じ形だが修正波として出現 |
| 複合型 | 上記パターンの組み合わせ |
修正波は基本的に定義があいまいです。推進波と同じ考え方でよいですが、基本波形は3波動で一つと覚えておくのが実践的です。
ダウ理論×エリオット波動の組み合わせ
ダウ理論とエリオット波動は相互に補完し合います。
| ダウ理論の概念 | エリオット波動での対応 |
|---|---|
| 上昇トレンド | 推進5波が進行中 |
| 先行期 | 1波(一部投資家が先行して買う) |
| 追随期 | 3波(最も利益が出る波) |
| 利食期 | 5波(先行投資家が利確) |
| トレンド転換 | 修正波A-B-Cの開始 |
検証ノート — エリオット波動の注意点
エリオット波動のカウントには主観的な判断が伴います。ダウ理論ナビではスイングポイントの確定事実と3つの絶対ルールに基づいて機械的にカウントを自動化していますが、プロのアナリスト間でもカウントが分かれることがある指標です。独自の閾値や主観的な判断基準は使用していません。
特に「今が第何波か」の判定は、後から見れば明確でもリアルタイムでは不確実性があります。エリオット波動は他の指標(ダウ理論・フィボナッチ)と併用して初めて有効性が高まります。
参照文献・データソース
データソース
- 株価データ: J-Quants API(JPX総研・東京証券取引所公式)
- 銘柄情報: 東京証券取引所 上場銘柄一覧(プライム・スタンダード・グロース市場)
参考文献
- Ralph N. Elliott, "The Wave Principle"(1938年)— エリオット波動理論の原典
- A.J. Frost & Robert Prechter, "Elliott Wave Principle"(1978年, 改訂版2005年)— 現代の標準的教科書
- John J. Murphy, "Technical Analysis of the Financial Markets"(1999年)— テクニカル分析の標準的教科書