そのチャート、本当に上昇トレンド?|7 段階で見抜くトレンドの正しい判定方法
「上がってる」 と「上昇トレンド」 は 別物 です。
ダウ理論で言うトレンドは 高値と安値がともに切り上がる 状態。本記事では、東証全銘柄を 7 段階で自動判定する仕組みと、それを自分のチャート判定にも応用する具体的な手順を、図解とともに解説します。
サポート接近は 「まだ持つか撤退か」、新トレンド候補は 「まだ買うか待つか」 ─ どちらもエントリー判断の境界線。本記事ではこの 2 状態の見極め方を実例で解説します。
この記事でわかること
- スイングハイ・スイングローの見つけ方
- 押し安値・戻り高値の正しい定義
- トレンド継続と転換を見分ける具体的な判断基準
- 実践で使える「エントリー3条件」
- よくある間違いと注意点
株のトレンドとは、株価が一定方向に継続的に動く傾向のことである。ダウ理論では「高値と安値がともに切り上がれば上昇トレンド、切り下がれば下降トレンド」と定義する。ダウ理論ナビでは全銘柄のトレンドを毎日自動判定し、7段階のステータスで表示している。
トレンド判定の前に:スイングハイ・スイングローとは
ダウ理論でトレンドを判定するには、まずチャート上の「高値」と「安値」を正確に特定する必要があります。これをスイングハイ(Swing High)とスイングロー(Swing Low)と呼びます。
ダウ理論では、トレンドを期間で3つに分類します。長期トレンド(6ヶ月〜数年)、中期トレンド(3週間〜3ヶ月)、短期トレンド(3週間未満)です。東証全銘柄の分析では、日足ベースで上昇トレンドと判定される銘柄は通常10〜20%、下降トレンドは25〜40%、残りはレンジ(持ち合い)です。
スイングハイの定義
前後のローソク足と比較して、最も高い高値をつけたポイント。当サイトでは前後5本のローソク足と比較して判定しています。
スイングローの定義
前後のローソク足と比較して、最も低い安値をつけたポイント。こちらも前後5本で判定します。
図1:スイングハイ(SH)とスイングロー(SL)の見つけ方
上昇トレンドの平均持続期間は日足ベースで約2〜4ヶ月、下降トレンドは約1〜3ヶ月です(下落のほうが速い傾向)。レンジ相場の期間は平均1〜2ヶ月です。東証全銘柄では、1日あたり約50〜100銘柄のステータスが変化しており、特に決算発表シーズン(1月・4月・7月・10月)はトレンド転換が集中します。
押し安値と戻り高値の正しい定義
ダウ理論で最も重要な概念が押し安値と戻り高値です。多くの初心者が間違えやすいポイントなので、正確に理解しましょう。
押し安値とは
上昇トレンド中に直近の高値を更新する起点となった安値のことです。つまり「この安値があったから次の高値更新が起きた」というポイントです。高値が更新されるたびに、押し安値も移動します。
戻り高値とは
下降トレンド中に直近の安値を更新する起点となった高値のことです。安値が更新されるたびに、戻り高値も移動します。
図2:高値が更新されるたびに押し安値が移動する仕組み
トレンド継続の判断基準
ダウ理論では、以下の条件が満たされている間はトレンドが継続していると判断します。
上昇トレンドの継続条件
① スイングハイ(高値)が前回より高い → 高値の切り上げ
② スイングロー(安値)が前回より高い → 安値の切り上げ
③ 直近の押し安値を割り込んでいない
下降トレンドの継続条件
① スイングハイ(高値)が前回より低い → 高値の切り下げ
② スイングロー(安値)が前回より低い → 安値の切り下げ
③ 直近の戻り高値を超えていない
トレンド転換の4パターン
トレンドが終了し、逆方向のトレンドが始まる「転換シグナル」には、明確なパターンがあります。
図3:トレンド転換の4パターン
実践で使える「エントリー3条件」
ダウ理論でトレンドを確認した上で、実際にエントリー(買い)するための3つの条件をまとめます。
条件① 上昇トレンドが確認されていること
スイングハイとスイングローが両方とも切り上がっていること。1回だけでなく、2回以上の切り上げが望ましい。
条件② 一時的な価格の下落(押し目)が発生していること
上昇トレンド中に価格が下がっている局面。フィボナッチ38.2%〜61.8%の範囲が目安。
条件③ 押し安値を割り込んでいないこと
押し目で下がっていても、直近の押し安値を下回っていなければ、トレンドは継続中。ここがエントリーポイント。
注意点:レンジ相場の罠
高値も安値も明確に切り上がらず、切り下がらない状態がレンジ(持ち合い)相場です。ダウ理論ではトレンドが発生していない状態であり、エントリーには適しません。
レンジ相場で無理にトレンドを見つけようとすると、ダマシに遭いやすくなります。「わからないときはエントリーしない」という判断も、ダウ理論に基づく立派な戦略です。
検証ノート — 開発者による実績開示
ダウ理論ナビの「チャンス局面」判定について、実際の数値を開示します。2026年3月時点のデータでは、チャンス局面と判定された銘柄が翌日に上昇した割合は約33%、1週間後の平均リターンは-4.01%でした。
テクニカル分析は確率的なツールであり、100%の的中は原理的に不可能です。ダウ理論の判定が機能しにくい局面(急落相場・出来高枯渇・仕手株)も存在します。当サイトでは成功データだけでなく失敗データも含め、誠実に開示しています。
参照文献・データソース
データソース
- 株価データ: J-Quants API(JPX総研・東京証券取引所公式)
- 銘柄情報: 東京証券取引所 上場銘柄一覧(プライム・スタンダード・グロース市場)
参考文献
- Charles H. Dow, "Wall Street Journal" 社説群(1900-1902年)— ダウ理論の原典
- William P. Hamilton, "The Stock Market Barometer"(1922年)— ダウ理論の体系化
- Robert Rhea, "The Dow Theory"(1932年)— ダウ理論6つの法則の定式化
- John J. Murphy, "Technical Analysis of the Financial Markets"(1999年)— テクニカル分析の標準的教科書